新卒1年目の新人看護師入職後の傾向

看護師1年目の転職活動

看護師の就業者数は年々増加しています。ちょっと前の統計ではありますが、平成11年末において、看護師数113万人弱まで増加したが、毎年看護師として就業する新卒看護師が約6万人弱いるものの、一方で就業している看護師の何割かは途中で退職していきます。

 

平成13年度版看護白書によると、「病院に就業している看護師の中で1年間に退職する者の離職率を見ると、平成10年度は10.8%で、一般労働者(女性)の離職率17.1%より低いだけではなく、一般労働者(男性)の離職率11.2%より低い。」統計データーがあります。従って、看護師の離職率は一見高そうではあるが、一般労働者(男女)と比較すると、実は離職率は想像以上に低いということが言えます。

 

一般的に看護師の離職の理由として多いのは、「出産・育児・子供のため(20.7%)」、「結婚(17.4%)」などがが上位理由としてあげられます。

 

しかし、こういったある意味前向きな離職理由ではなく、特に新卒看護師においては、入職後1年以内に、「できれば看護師(この仕事)を続けたかったが、もう耐えられなかった」と考え、悩むケースが目立ちます。

看護師の退職に至る4段階の心理変化

看護師1年目の転職活動

新卒看護師が入職1年目で退職だったり転職を考えるにに至る心理変化が4段階であると言われています。
まずは、そ4段階についての心理変化について、確認してみましょう。

 

(第1段階)自分の思っていた看護と実際の看護との違いを知る
(第2段階)自分で必死に努力する
(第3段階)全てがうまくいかないと感じる
(第4段階)仕事に興味がなくなる

 

詳細については後述しますが、退職に至る心理変化として第2段階で一生懸命頑張ってみるものの、第3段階で限界に陥り、ここで完全なるネガティブモードへ突入しますので、せっかく入職した病院ではあるものの、ひとそれぞれということもあります。現状を早期に解決する方法として、第3段階に陥った多くの新卒看護師の環境を変える一番の近道は他病院への転職なのかもしれません。

 

では、改めて第1段階から第4段階までを確認していきましょう。

 

(第1段階)自分の思っていた看護と実際の看護との違いを知る
●多忙な看護業務への驚き
・思った以上に仕事が多くて、終わらない。
・看護学校で習ってきたことがちっとも役に立たない。
・業務に追われておろおろするばかり。
・すごく時間がかかるからプリセプターの人に迷惑をかけた。
・患者さんともっとゆったりできると思っていたのに、時間がなく悲しかった。
・テレビで見ていた世界とは違っていた。基本、肉体労働。
●不十分な自分の看護技術
・自分ばかりがミスしているような感じがした。
・自分の不器用さがわかった。
●これまでとは違う生活
・夜勤があるのは知っていたがその日働いてその夜に

 

(第2段階)自分で必死に努力する
●ひたすら看護の勉強をする
・とにかくしんどかったけど、仕事は休まなかった。
・休みの日もずっと看護の勉強した。
・少しでも技術を覚えたいと朝は皆より早く出勤して、帰りも一人で練習した。
・学生の時ノートやプリントを引っ張り出した。
●心の安定をはかる
・他の病院で働いている友人たちに毎日電話やメールをして励ましあった。
・あまりくよくよしないように誰でも最初は上手にはできないからと自分に言い聞かせた。
・大好きな歌を聴いて、元気になっていた。
・彼氏の声を聞くために何度も電話をした。

 

(第3段階)全てがうまくいかないと感じる
●煩雑な看護業務
・とにかく時間がなくて、患者さんを軽くあしらうような毎日。
・自分に余裕がないから、仕事が楽しいとまでは思えない。
・受け持たされる患者さんの人数が多すぎる。10人ぐらいは当然。
●仕事が上達しない
・同期はもうリーダー見習になったのに、私には声がかからない。
・不器用さは相変わらずで、ちっとも技術が上達しない。
・人工呼吸器が何回教わっても怖くて使えない。
●複雑な人間関係
・学生の時のような友達ができない。
・新人と言う立場もあり、なんだか怯(おび)えている。
・医師と看護師の立場が対等ではない。
・病棟の雰囲気が悪い。
・怒る人がいる。怖い人がいる。

 

(第4段階)仕事に興味がなくなる
●退職を決断する
・なにも楽しいことがなく、看護学校の先生に相談するものの「もう少し続けたら、楽しくなる」と言われるものの、個人的に同感できない。
・看護の仕事は嫌いではないけれど、疲れた。病院も人間も科も違うところで、転職したいと思った。
・未練はもうない。
●新たな仕事・職場への希望
・他にもっとやりたいことがあったのではないかと思った。
・まだ若いので、いろいろとチャレンジしてみたいと思った。
・看護師ではなく、保健師に興味がわいた。